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最高裁判所第二小法廷 昭和35年(オ)613号 判決 1962年12月26日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人謝花寛済の上右理由第一点、第二点について。

論旨指摘の原審の事実認定は、いずれも挙示の証拠関係から肯認しうる。論旨は、原判示にそわない事実を前提として、原審の専権に委ねられた証拠の取捨判断および事実認定を非難するにすぎず、採用することができない。

同第三点(二箇所)について。

原判決が確定した事実によると、上告人代理人波木佐一(佐市とあるは誤記と認める。)と被上告人の代理人中村信雄との間において昭和二七年八月九日本件売買契約を締結するに際し、当時すでに本件換地予定地が指定されており、かつ従前の土地は道路となつていたので、右換地予定地を売買の目的となし、現場に臨み、特価を坪当り約四、〇〇〇円と見積り、右予定地の面積七八坪余を約八〇坪と解して代金三二万円と定めたものであり、当事者双方とも換地清算交付金についてはなんらの特約もなすことなく、しかも右換地予定地はその変更なく予定どおり換地として認可されたというのである。このような場合には、本件売買の当事者間における関係では、買主たる上告人は、売買の目的物となつていた換地後の土地所有者権を取得すのみにて足り、本件清算交付金は売主たる被上告人に帰属すべきものと解するのが至当である。されば、右と同趣旨の見解に基づく原判決は正当として是認すべきであり、論旨引用の判例は、本件に適切でない。論旨は、いずれも採用するを得ない。

同第四点について。

原判決には所論違法は認められないから、論旨は採用の限りではない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介)

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